特集!男の離婚

離婚弁護士柳下明生

「損な男」のために・・・

この半世紀の離婚事件の大半は、女性弁護士が女性の権利確立のために頑張ってきた面があります。

その結果、判例や裁判例も女性側に有利なものが多く、実務的な運用も女性有利なものが多くなっています。

男性の権利を守るためには新しい先例を作る覚悟が必要ですが、そのような弁護士はまだ少ないのが実情です。

現在の運用では、男性が離婚に関する相談をしても特に慰謝料、財産分与、親権などについては
「勝ち目はありません」
「あきらめてください」
としか言えない弁護士が多いようです。

ここでは、新しい先例を作っていくことを目指して、どのような挑戦ができるかを書いていきます。うまくいく可能性が高いとはいえません。「それを覚悟で筋を通したい。自分の権利を守りたい。」という方のお手伝いをしたいと思っています。

男性の離婚について、離婚部門主任弁護士 柳下 明生が徹底解説します。

『親権』妻が子どもを連れて出て行った・・・子どもを取り返したい!

親権ばかりは女性が有利なのが現状です。

親権者を指定するにあたっては、現状維持が有利・母が有利といわれています。

たとえば別居中の夫婦で、すでに母親が子どもを引き取っている場合は、この現状維持・母性優先が重視され、母親が親権者になる可能性が高いです。

また現実的な話をすると、「毎日仕事に出なければならないあなたがもし親権者になったとしても、子どもを養育するために十分な時間が割けますか?」と言われても、答えに詰まってしまう父親が大多数なのではないでしょうか?

しかしだからといって、妻が勝手な理由で子どもを連れて出て行って、毎日会えていたはずの子どもに突然会えなくなる・・・。そんな不条理が許されるのか?!もっともな気持ちだと思います。

ハーグ条約などを見てみると”夫婦一緒に住んでいる状況で妻が子どもを連れて勝手に出て行ってしまった場合、子どもは元の場所(夫のところ)に戻すのが筋である”という価値観が国際的には一般のようです。

しかし現在の日本においては、子どもを連れて出て行ってしまった妻のほうが有利という状況です。”子どもの連れ去りを認めるのが日本固有の文化”ということはありえないはずなのに、なぜこのような事態が起こってしまっているのでしょうか?

根本的な問題は、現状を変えるのに及び腰の裁判所の姿勢にあるような気がします。

というわけで、妻が子どもを連れて出て行った状況で親権をとるのは容易なことではありませんが、すべての状況において、妻が親権をとることが正しいとは限りません。最近では、裁判所でも現状維持・母性優先の原則を見直す流れが出てきていますので、本気で親権をとることをお考えでしたら頑張ってお手伝いしますので、一度ご相談ください。

『財産分与』専業主婦である妻の取り分は?

一昔前までは、専業主婦の財産分与の割合は財産総額の3割程度でした。しかし、その割合がいつの間にか5割程度まであがり、それが定着しつつあります。

法律が変わったわけではないので、女性側がどんどん押してきて、男性側は押されっぱなしという状況なのです。

しかし考えてみれば、あなたの現在の社会的地位や収入を築くのに、妻はどれだけ協力をしてくれたといえるでしょうか?今の仕事に就けたのも、ここまで昇進できたのも、自分が結婚前から日々コツコツ努力してきた結果だ!と言いたい方も大勢いるのではないでしょうか?

このように考えていくと、妻が夫婦の財産形成に対し、半分の貢献度を主張することは、筋が通らないとも言えます。

「妻の取り分を半分以下に!」という主張を通すためには、それなりに難航するかもしれません。しかし、そのような男性側の気持ちをどんどん主張していかないと、裁判所も変わらないのです。

『慰謝料請求』妻に暴力をふるわれている・・・慰謝料請求したい!

”暴力が原因で離婚”というと、夫が妻に対して暴力をふるうものだと考えられがちですが、暴力をふるう女性も相当程度います。

しかしそこは、生物学的にいえば男性の方が力が強いのだから、妻からの暴力は我慢すべき・・・。それが果たして正しい考え方でしょうか?

もちろん、夫婦が円満であれば、その程度は・・・と言えるかも知れません。これがもし離婚するとなると、妻からの暴力に耐えていた日々はなんだったんだ!という話になるでしょう。

ただ現実には、今回の”暴力”のように、夫と妻が入れ替わっていれば当然慰謝料請求が認められそうな事案でも、裁判官は、なかなか男性側の慰謝料請求を認めたがらない傾向があります。しかし当事務所では、妻の不貞がない件でも、慰謝料の支払いを命じる判決を何件も得ています。ですから、夫側の言い分について積極的に主張していきたいと考えています。

『有責配偶者』離婚したいのに妻が離婚してくれない!

離婚したいけれど、妻が別れてくれないという事案はよくあります。特に男性側に問題がなければよいのですが、新しい恋人と早く結婚したいからという理由のこともあります。

この場合は、男性側が”有責配偶者”であるとされ、裁判では勝てない可能性が高いですから、シビアな交渉になることが多いです。

しかし「本当に男性側が”有責配偶者”か?」という点は、事案に応じて、しっかり検討する必要があります。

現在男性に新しい恋人がいるという事実は動かない以上、恋人ができた時点での夫婦関係がどうだったのか?が争点になります。

夫婦間は既に冷め切っていたのではなかったか?それまでの妻の言動に問題はなかったのか?最近流行り?のモラハラ(モラルハラスメント)とか言葉の暴力などがあったといえるかもしれません。具体的には、家に帰ると、妻の子育ての愚痴が何時間も止まらないとか、こちらのことをバカにすることを言ったり態度を示したりなどがあります。

現時点で、これが離婚原因になる可能性は低いですが、世間の価値観の変動により「モラハラは許せない!」となると、浮気前の相手からのモラハラの存在によって浮気免責!というということもあり得るかもしれません。

もちろん「自分が全面的に悪いんです・・・」という場合は、しっかりと男としてのケジメを付けて離婚に向き合う必要がありますが、たとえば浮気をしてしまうずっと以前から妻からモラハラを受けていた場合など、「夫婦関係破綻の原因は自分だけにあるのではない!」という場合には、あなたの意見を積極的に主張していきたいと考えています。

いずれにしろ、夫婦関係破綻の原因が本当に浮気なのかどうかは微妙な問題のこともあるので、じっくり考えていきましょう。

『離婚拒否』妻が子どもを連れて出て行った。それでも離婚したくない!

自分は離婚する気はない。しかし、弁護士のサイトを色々見たり、相談したりしたが、どれも離婚へ向けての話ばかり・・・。離婚しないためにはどうしたらいいのですか?

というのも実はよくある相談です。

残念ながら”復縁”にむけての交渉、裁判などは成功例があまり多くありません。それはなぜか?それは、離婚を拒否し続けて仮に離婚訴訟で勝った(つまり、判決で離婚が棄却された)としても、出て行ってしまった妻を法律の力で連れ戻すことはできないからです。

夫婦には法律上同居義務があるのですが、この同居義務は裁判所の力を使って強制できないのです。つまり、離婚訴訟の勝ち判決を手に入れても裁判所が奥さんを連れ戻してくれるわけではないのです。要は現状のまま。

さらに、一旦離婚訴訟で勝っても、前回の訴訟後に発生した新たな事情(例えば別居期間が更に長くなり、その間相互の交渉も全くなく、完全に夫婦関係が破綻した等)から、再度離婚訴訟が提起される可能性もあります。このように「離婚してくれ」「いや絶対に認めない」のやり合いが延々と続くことも考えられるので、紛争解決を目指す弁護士の本能としてはどうしても「離婚をして解決」の方向を考えてしまいます。

強いて成功を想定するとすれば

  • 妻が連れて行った子どもだけでも取り戻す手続をする

    ただし、女性側に子どもがいる場合、子どもを取り戻すのはとても難しいので、困難な闘いになります。

  • 戻ってくるかどうかは問わず離婚はしないというケジメを通す

    「離婚離婚と言い続けていれば離婚になってしまうのでは、結婚という約束事の意味がないではないか」というのは真っ当な感覚だと思います。ただし、かなり消耗することは覚悟する必要があります。

といったことになります。

いずれにしろ「どうしても別れたくない!」といった場合は、どのような方向で進めるのか、法律の限界を含めてじっくり弁護士と相談することになります。

『養育費』収入が減って支払いが苦しくなった。どうにかしたい!

協議離婚で離婚協議書を作成し、これを公正証書にすると、約束通り金銭の支払いがなかった場合、強制執行をすることができます。

たとえば養育費の強制執行は、自営業者の場合、預金口座を差押えされてしまいます。サラリーマンの場合は、会社が社員に給与を支払う前に、会社から直接養育費を支払うように、裁判所が命令します。

給与の差押えをされてしまうと、その事実は当然会社に知られてしまいます。「あの人は、離婚後養育費をまともに支払ってない」ということが、会社の知るところとなってしまうのです。もしそんなことになったら、あなたの会社での立場にも影響しかねません。

このような事態を避けるためにも、養育費の支払いが困難になった場合、勝手に減額したり、支払いを止めてしまうようなことはしないほうが身のためです。

このような場合は、自分で相手に交渉してみるのが良いのか、弁護士が交渉した方が良いのか、家庭裁判所に養育費減額請求の申立てをするのが良いのか、は当方の状況、相手の状況等によって大きく異なります。一度、最善の方法が何かを弁護士に相談してみることをおすすめします。

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著者:弁護士法人マイタウン法律事務所
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